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怒りと嘲笑のススメ 2004.6.26(土)熊本日日新聞 |
木馬の陰謀 映画「トロイラク」の見所
ホメロスの叙事詩「イリアス」をもとに翻案された映画「トロイ」が日本でも公開され評判を得ている。これとは似て非なる映画「トロイラク」がいよいよ今夏、世界同時公開になる。間違っても寿司をテーマにした「トロとイクラ」ではないことだけはハッキリ断っておく。「トロイ」と同じく巨大な木馬が見せ場の「トロイラク」はホワイトハウスの広報部が協力しただけあって「善玉米国、悪玉イラク」の図式が明確だ。 「トロイラク」は今から十数年前のイラン・イラク戦争から始まって湾岸戦争、そして今回のイラク戦争に至るまでの「アメリカ帝国主義の世界布教」が主なテーマだ。そもそもアメリカはこの地球を制覇すべくあらゆる手を打ってきた。イランを叩くためにサダム・フセイン大統領のイラクに肩入れし大量破壊兵器などを密かに提供した。長期間の戦争により国力が低下したイラクに対してアメリカは戦争を仕掛けた。隣国クエートにイラク内の原油を“ななめ堀り”するというイラクにとって許しがたい行動を起こさせたのだ。これがイラクのクエート侵攻のキッカケとなった。湾岸戦争勃発の原因である。戦争は一件落着したかに見えたがアメリカ・国連はイラクに対して経済制裁を行った。フセイン政権打倒の決定的な一策として「大量破壊兵器を探し出す」という大義名分をうち立てたがこれがまったくのうそだったことが判明。戦争の目的が「原油の利権獲得」だったことは周知のとおりだ。フセイン拘束後、サドル師率いる抵抗軍を壊滅するため、米英軍はファルージャに攻撃をかけ、その結果、多くのイラク市民の死傷者を出すことになった。ここで木馬の登場である。胴体の中に兵士を忍ばせファルージャ市内に置き去りにする秘策を打って出た米英軍だが自爆攻撃により火災が発生し木馬は全焼破壊された。第二の木馬が作られ多国籍軍の一員として自衛隊員が送り込まれたが設計ミスによる換気の悪さが原因で窒息し三百人余りが死亡した。御霊は靖国神社に合祀された。映画はここで終わる。合掌。
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